FLINTERS Engineer's Blog

FLINTERSのエンジニアによる技術ブログ

実施レポート:社内向けトレーニング

ScrumMaster 兼 組織開発部の責任者として組織改善などやっております貫名です。 9月に外部トレーナーにご協力頂きながら社内向けオンライン研修(トレーニング)を実施しましたのでそのレポートを投稿します。

今回は弊社のアドバイザーとして定期的にサポート頂いている Odd-e Japan 江端一将 氏と同社 貝瀬岳志 氏にプライベート・トレーニン*1を実施して頂きました。

1.トレーニングを依頼した背景

少しだけ脱線しますが、弊社では技術指針にも記載している通り「現状を把握し、早く適切な判断をすること」を目的にScrumという働き方のフレームワークを8割以上のチームで活用しています。約3年半前の会社組織へのScrum導入期からOdd-e Japanさんには、全社参加1day・Scrum研修を実施頂いたり、その後の継続的なコーチングなどでお世話になってきました。

そんなご縁もありつつ、今回のトレーニング依頼の背景にはScrum実践を数年やってきた上での課題感がありました。

現場における色んな観点でのScrum浸透は進んでいる様に見えるものの、幾つかの点でチームの働き方の価値観にズレが見られたり、フレームワーク活用というよりは形骸化しているかも知れない場面が見られたり、という課題感がありました*2。そんな仮説を持ちながら、トレーニング実施についての相談を開始しました。

2.参加希望をチーム単位で募集

実は相談開始からトレーニング実施までは時間に余裕がなく、内容検討と社内参加者の募集は同時進行で行いました。

前述した課題感からも出来るだけ全てのチームに参加して頂きたい想いはありましたが、より研修効果を高めることを大切にしたくて、「参加 / 不参加の判断はチームごとに任意で判断」ということで、社内に案内を出しました。

自分としては「やらされ感」や「受け身」で参加するチームが出ることが、本人たちはもちろん他の参加者に対しても損失になり得るので避けたいと思っていたのです。

結果的には、全体の85%にあたるチームに加えてベトナムのオフショア拠点のメンバー(主に日本語が堪能なメンバー)10数人からの参加表明を頂き、2つの実施日程共に定員超えの状態で実施することが出来ました。

3.内容検討の段階から始まっていたトレーニン

参加人数がある程度見えてきた段階で、先方と弊社 Mgr陣 + ScrumMasterでのトレーニングの詳細検討のために打ち合わせを実施しました。

以前からサポート頂いている関係で、弊社の状況はある程度把握していただいているとは言え、改めて今回の依頼に至った背景にある課題感などを中心に意見交換を進めましたが、幾つかの質問を頂き改めて検討してみた結果、もともと用意していた課題感に至る以前に課題があるかも知れないという気づきが生まれました。

気づきについて少し具体的に話すと、Mgr目線*3では確かに共通する課題感があるのですが、その課題感が「社員みんなとしっかりシェア出来ているか、同じ課題感を感じているか」というと非常に怪しく、研修などの単発な取り組みでそれを前面に出すとなると押しつけ感満載で返って逆効果になってしまうかもしれない、ということでした。

私の解釈でまとめると「その課題感、Mgr陣の独り善がりになっていないか?それで改善が進むのか?」と問われている様*4で、組織改善の在り方を改めて考えさせられる機会にもなりました。

更にその打ち合わせの場にて、トレーニング本番前にもう1回打ち合わせをすることも決定し、第2回までに参加者への宿題まで出して頂く展開に!その後、打ち合わせ参加者らが出された宿題について検討している姿からは、内容検討の段階で既にトレーニングが始まっているんだと強く感じたのでした。

4.トレーニング当日の様子

そして迎えたトレーニング当日は、Google Meet と Miro を使ってのオンライン実施。

基本的には、お題に対して普段一緒に働いているチーム毎に議論しながら進めていくスタイルでした。詳細内容については割愛しますが、抽象度も高いテーマに対して、いかに論理的に検討を進められるかは重要なポイントだったと思います。

また日程1と日程2で参加者が異なったこともあり、トレーニングの進行が違った展開になったのは、どちらも参加した自分にとっては非常に興味深かったです。*5

私が認識している範囲では、最初に出されたお題に対する「チームとしての回答」にたどり着いたチームはありませんでしたが、議論を通じてScrumをはじめとした自分たちの働き方について新しい気づきを得たチームがいれば、チームの抱える課題を改めて確認したチームもいた様でした。

5.トレーニングを終えて

レーニング実施後は、参加者に向けて独自アンケートにてフィードバックをもらいました。 そこでもらった意見の一部を紹介させて頂きます。

スクラムについて考える良い機会になったが、議題が難しく話し合いが難航することも多く、全員が納得する現状を大きく改善する方法を見つけるに至らなかった。自チームで出た改善案やTRYを、実際にやってみてどうだったかの振り返りをするようにする。」

「自分自身がスクラムについて雰囲気でしか実践していなかったことがだいぶ言語化された」

スクラムが提供する力は、未来のことではなく現在から過去の振り返りをするためのフレームワークであることを知れたのは大きかった。 また、話し合いの進め方で、判断基準が揃っていない状態で多数決をとるのは悪手であり、たいてい自分の知っていることや判断しやすい方に意見が寄りがちであるということに気付けたのもよかった。」

コメントからも見られる様に、テーマの難易度が高かったという意見は散見されましたが、それと同時に働き方や個人 / チームのスタンスを考える機会に繋がった様で、当初の目的達成に繋がる非常に有意義な機会になったと捉えています。

そもそもトレーニング自体は1回あたり3時間と限られた時間ですので、単発での効果に頼らず、今回の機会を活用して継続的な学びに繋げることこそが、目指すべき組織の理想状態へ繋がる、今後やるべき取り組みなんだと思っています。

実際に私が関わるScrumチームでも、トレーニングの学びをどう業務に活かすかについてチームが自主的に時間をとって検討を始めており、今まで以上にチームが自分たちの課題に対して積極的かつ中長期視点を持って向き合う様になったのは、トレーニングを通じて得られた成果の1つと認識しています。

最後に

改めて期末の忙しい時間にも関わらず主体的に参加し今後に活かそうと検討してくれた弊社メンバー、 そして弊社事情によりご依頼から実施までが非常にタイトなスケジュールにも関わらず多大なるサポートを頂いたOdd-e Japanの方々には この場を借りて感謝いたします、ありがとうございました!

*1:今回は江端さんによる「Scrumプライベート座談会」を全社員対象に、貝瀬さんによる「ProductOwnerワークショップ」を特定メンバー対象にそれぞれ実施しましたが、本ブログでは主に前者についてレポートしていきます

*2:念の為ですが「Scrumに対して盲目的になっている」という主旨ではありません。強いて言えば、初めてScrumを学んでから3年半が経過し、それ以降に入ったメンバーも増えて来た結果として起こったことと捉えています

*3:ちなみに今回参加していたMgrは各事業部の責任者たちでした

*4:参加していたあるMgrからは「あの自分たちにブーメランが返ってきたところ、あれが凄く良かった」などと言っていました

*5:サラッと書きましたが、序盤に参加者の特性を掴まれて進行を変更した江端さんの離れ業たるや、、、