昨年10月から、広告ツールチームの専任スクラムマスターに従事しています貫名です。
チームのレトロスペクティブを振り返ってた時「ブレストで出たアイデアを効果的に絞る方法」が気になって書籍を頼りながら考察したのでまとめてみます。
そもそもブレーンストーミングって
アレックス・F・オズボーンはブレインストーミングの父として広く知られている。(中略)オズボーンによるブレーンストーミングのルールはシンプルだ。
・アイデアを批評しない
・アイデアを大量に出す
・お互いのアイデアをヒントに新しいアイデアを出す
・奇抜で馬鹿げたアイデアを推奨する
出展:「スクラム現場ガイド - 7章 完了を知る」より
最近「対話」(「議論」「会話」と区別して使うことが多い)というキーワードに注目している自分としては、改めてブレストは対話型手法だなと再発見。
シンプルだけど、このルールって意外に共通認識されてないので、参加者の見えるところに表記しておきたい内容。
と、前置き長かったですが本題に
「レトロスペクティブのブレストで出たアイデアを効果的に絞る方法」という長いタイトルで、そもそも「効果的」ってなに!?ってなりそうなので、少し前提を詰めて話を進めます。
前提
ブレストが利用される「会議のGOAL」は非常に重要。今回は「会議内で決まった課題に対して、改善アクションを出し、それをチームが腹落ちした状態で実行に移すこと」とする。
たとえば、私以外に6人の参加者がいる会議で、チームの課題についてブレストしていたとします。幸い多くの課題が出て、それをポストイットに書き出し類似してるものを精査し、さてこれからどのように優先度を決めようか、、、となっている状態からどうするのかの話です。
方法ってシンプルに下記などが思い浮かぶんじゃないでしょうか。
- ポストイットを見ながら話し合う
- 「1人3票」など条件を決めて挙手による投票をする
- 同じく特定の条件を決めてドットシールなどで投票する
ある程度の人数が集まれば「2」や「3」が採用されるのが多いと思うんですが、その時に抑えておきたいポイントを整理してみました。
押さえておきたいポイント
1、質問の仕方によって、投票結果が異なる
「取り組みたい課題は?」と「最も重要な(解決するとインパクトがある)課題は?」は意味が異なる。今回の前提で考えると、まずは「最も重要な課題は?」という質問で絞り、解決アクションや実行の判断については別で検討をすると良かった。 *1
2、「挙手」での投票は簡単だけど注意が必要
準備がほとんどいらず人数が多いときやりがちなんですが、投票者それぞれの優先度重み付けの意図が反映されないので、各人の意図が示しずらいという難点があります。1人に複数票持たせて重み付けした投票が出来るようにするなどで対応可能。
3、1人に持たせる投票数は適切に
もし重要な問題がたくさんあるのに1人当たり3単位しか持たないと、本当に大事なものが埋もれてしまう。1人1000単位あると、逆にあまり大事ではないものまで選ばれてしまう。
出展:「スクラム現場ガイド - 16章 ふりかえり」より
この時点で重要な問題がどれくらいあるのかは分からないので、下記のような絞る対象のアイデア数で決めるパターンは参考になりそう。
アイデア数の1/3~1/2のドットを各人に配る
出展:「 アジャイル・レトロスペクティブス - 6章 アイデアを出すアクティビティ」より
4、投票結果は「選択」であって「決定」ではない
アクションには開発チームメンバーのタスクレベルの作業が必要だ。誰がこの作業を担当するのか、どれだけの時間をかけるのかをチームで決めなければならない。ここでようやく利用可能なキャパシティの中でインサイトが実行可能かどうかが決まる。
出展:「 エッセンシャル スクラム - 22章 スプリントレトロスペクティブ」より
最初の投票の質問の仕方にもよりますが、今回の例では「最も重要な課題」を「選択」するための投票。その後に、残りの会議の時間や実際の改善アクションを実行できるリソースがどれだけあるかを考慮して最終決定に進む。*2
まとめ
アイデアを絞る際にどの手法を選択するとしても、会議のGOALを抑えることは外せないなぁと。
あと、優先度を出すことでその後の実行の検討へのリソースも適切に配分できるので、立ち上げ期で問題山積みのチームには特に有効だよなと思いました。
書いててめちゃくちゃ基本的なことだよなーと思いつつ自分や組織の学びの定着を目的に、今年はこういった記事を月1はアップしていきたいというプチ宣言をして、この記事は締めたいと思います。