FLINTERS Engineer's Blog

FLINTERSのエンジニアによる技術ブログ

ObsidianとZettelkastenを使って技術メモを取る

こんにちは。FLINTERS エンジニアの早瀬です。 この記事はFLINTERS設立10周年ブログリレーの90日目の記事になります。

技術者の皆さん、日々の業務で技術メモは活用していますか? 今回ObsidianとZettelkastenを用いて、メモの取り方を見直しました。この記事では、そこで実践した方法とやってみた感想などを記載します。

目次

現状のメモの課題

日々のタスクやメモをObsidianのDaily Notesで記録しています。 この方法は物事を理解したりする上で有効ですが、次のような課題を感じています。

  • メモの再利用性が低い
  • 後から見返す際の理解に時間がかかる

用語の説明

Zettelkasten

Zettelkasten(ツェッテルカステン)は、ドイツの社会学者ニクラス・ルーマンが研究と論文執筆のために考案したシステムです。 このシステムでは、一つのアイデアをカードに書き、それを箱に収めることで情報を整理・管理していました。 今回は、MarkdownエディタのObsidianを利用して、このシステムを実践します。 私は書籍「TAKE NOTES!」を読んでこのシステムに興味を持ちました。より詳細な内容は、その書籍でご確認いただけます。

bookplus.nikkei.com

こちらでは3種類のノートを使い分けます。

  1. 走り書きメモ
    • 思いついたことを書き出します。
    • 数日内に見直し、永久保存版メモに書き直すか、廃棄します。
  2. 文献メモ(LiteratureNote)
    • 本や記事を読んだ際のメモ。
    • 読んだ内容を自分の言葉で記述し、理解を深めるために使用します。
  3. 永久保存版メモ(PermanentNote)
    • 必要な情報を自己完結し、理解可能な形で記述します。
    • 1つのテーマに絞り、簡潔にまとめます。
    • メモは、スクロールせずに一画面で見られる量を目安にしています。

ノートのライフサイクルは次のようになります。(図1)

図1: Zettelkastenのライフサイクル

個人的には

  1. 「走り書きメモ」にざっくりとした考えを書く
  2. 「文献メモ」を1をもとに作成する
  3. 1,2で作成したメモをもとに「永久保存版メモ」を作る
  4. 作成したメモは各種フォルダに保存する

という流れでやっています。

Obsidian

ObsidianはMarkdownエディタで、オフラインでの保存が可能です。ノート間のリンクを用いて関連性を視覚化できます。

今回は、下記の2種類のプラグインを利用します。

プラグインの有効化は、Obsidianの「設定」メニューから「コアプラグイン」セクションにアクセスしてください。

  1. Unique note creator
    • このプラグインは、「文献メモ」や「永久保存版メモ」を作成する際に特に便利です。それぞれのメモにユニークな識別子を付与することで、情報の整理と検索が容易になります。
    • このプラグインの有効化方法とテンプレート設定に関しては、こちらの記事を参考にさせていただきました。
  2. Daily notes
    • 私は日々のタスクリストを常に目に見える場所に置いています。そのため、Daily Noteを「走り書きメモ」としても積極的に使用しています。
    • メモの取り方は個人によって異なるため、必須項目ではないです。

実践例

過去にDockerのイメージスキャンまわりで調べた内容を例に実際のフローを紹介します。

  1. 「走り書きメモ」にざっくりとした考えを書く
    • テーマ
      • Dockerイメージスキャンをコスパ良く行うには?
    • 調べること
      • ローカルで利用できるツールの一覧と料金は?
      • AWSで利用できるツールの一覧と料金は?
  2. 「文献メモ」を1をもとに作成する
    • 「調べること」から「文献メモ」を作成する
  3. 1,2で作成したメモをもとに「永久保存版メモ」を作る
    • コスパの良いイメージスキャン方法はなにか?
  4. 新たな疑問を「走り書きメモ」に追加する
    • ローカルとAWSのスキャンの内容に違いがあるか?
    • 自分たちは開発の中でどのくらいのイメージスキャンを行う必要があるのだろうか?
  5. このプロセスを繰り返す。

感想

良かった点

まとめが容易になった

テーマごとに整理されたメモが作成され、情報の取り扱いが容易になりました。特に、「永久保存版メモ」により、背景情報の記述が必須となるため、後でのまとめ作業がスムーズに進むようになりました。

使えるメモがわかりやすい

以前は日々のノートにタグを付けてメモを管理していましたが、この方法を用いることで、特定の文脈における利用可能なメモが明確になり、情報の検索が迅速に行えるようになりました。

苦労した点

メモ作成にコストが掛かる

背景情報から調査した内容を自己完結できるような形でまとめることは、普段のメモ以上に労力がかかります。これは慣れもあると思うので、もう少し試してみてから判断してもいいのかなと思っています。

まとめ

ObsidianとZettelkastenの組み合わせは、当初の課題であった「後から見返す際の理解に時間がかかる」という部分に関してはある程度解消できました。

「メモの再利用性が低い」という課題に関しては解決し切ることはできませんでした。こちらはZettelkastenのメモ作成とObsidianのリンク機能を組み合わせて継続的に利用することで、メモ間のつながりが強化され、情報を再利用しやすくなると考えています。

技術メモの取り方を見直したい方の参考になれば幸いです。ありがとうございました。

参考資料