FLINTERS Engineer's Blog

FLINTERSのエンジニアによる技術ブログ

FLINTERS 2023 ここまでとこれから

こんにちは。CTOの河内です。

FLINTERS (旧社名 セプテーニ・オリジナル)は来年2024年の1月6日で丸10年を迎えます。 いや〜、めでたい! そこで全社員でブログを書いてみようという10周年企画が持ち上がりまして、133日間ブログを書くことになりました。 ブログ記事を通じて FLINTERS の技術面だけでなく会社のことも知ってもらえると嬉しいです。

この記事はその記念すべき1日目ということで、FLINTERSのここまでの大きな流れを振り返りつつ、今後についての想いを私目線で綴ろうと思います。 私は2017年入社なので、10年丸々ではないのですが半分以上は一緒に過ごしたことになります。

会社の話

私が入社した当時はセプテーニ・オリジナルという社名でした。 「セプテーニグループの事業を技術で成功に導くスペシャリスト集団」を標榜している会社で、グループ会社内の開発担当といった位置づけです。

入社のきっかけは、私が職を探していていた当時、セプテーニ・オリジナルの技術顧問をされている方に紹介してもらったことでした。良い出会いを提供してくれたことを今でも感謝しています。

当時から現在にかけて、広告運用にかかわるツール開発と GANMA!という漫画アプリを手掛けています。 広告運用の方は一般の方には馴染みがないと思います。クリエイティブ制作、配信設定、効果測定、顧客へのレポートなどなど広告運用には様々な活動があります。それらの活動を効率化するためのアプリケーションを開発しています。

2021 FLINTERSでグループ外も狙う

我々の経験と業務力はセプテーニグループ外にも販売できるのではないか、ということで 2021年に FLINTERS という社名に変えると共にグループ外に取引先を拡大することを目指しています。

Flint には「火打石」という意味があります。 新しいビジネスの火種をあちこちで作っていくぞ、という意味を込めてFLINTERSという名前にしました。 私も命名に絡んだのですが、命名は正解が無いので難しいですね。 100種類くらい候補を挙げて役員内で話した記憶があります。 私は septeni-original.co.jp という以前のドメイン名が長くてタイピングが苦手だったので、短い名前を推したことは覚えています(笑)

社名変更と共にビジョン、ミッションも改定しました。 ビジョン、ミッションの扱いは会社によって様々ですが、 当社ではミッションは会社の使命であり頻繁に変わらないもの、ビジョンはミッション達成のための通過点であり数年ごとに変わるものと捉えています。 改定後のビジョン、ミッションは以下の通りです。

  • ミッション「未来につながる火を灯そう」
  • ビジョン「データ活用でユーザー体験を豊かにする」

この時点までにウェブアプリ開発がほとんどだった状況から、徐々にデータ基盤構築の仕事が増えて来ていたこともあり、ビジョンに「データ」という単語が入りました。 私としては「ソフトウェア」という言葉をどこかに入れたかったのですが、「データ活用」という言葉にソフトウェアの意味合いは含まれており、短いほうが良いだろうということで、現在の形になりました。

2021 FLINTERS BASE 社設立

社内におけるデータエンジニアリングの重要性の高まりに反して、ビジネスを拡大するには十分な人材が確保できていない状況でした。 アプリケーションエンジニアと比較するとデータエンジニアという職種自体がまだまだマイナーであり、人材自体も少ない状況でした。 そこで未経験からでも充実した研修を通じてデータエンジニアとして一歩を踏み出せるプラットフォームとして FLINTERS BASE を子会社として設立しました。

教育事業とエンジニア派遣事業を両輪で回していくことで、当社だけではなく業界のデータエンジニア育成に貢献していけたら幸いです。

ちなみに代表を務める関さんは筋トレが大好きで、集会のスライドには毎回筋トレを想起させる写真が入っています。 (入社すると筋トレを強要されるようなことはございません。)

2022 電通グループに

2022年に親会社であるセプテーニ・ホールディングスが電通グループの子会社となりました。 親会社の判断であり、私としては正直なところ気がついたら電通グループになっていた… という感じでした。

https://www.septeni-holdings.co.jp/ir/irnews/Ad_211028.pdf が当時のお知らせです。 お知らせ内で「電通デジタルの開発体制の強化」と触れられているとおり、ありがたいことに電通グループ関係のお仕事をいただくことが多くなりました。

技術ドメインの話

技術ドメインで言えば、アプリケーション開発がほとんどの状況から、アプリケーション開発とデータエンジニアリングが半々くらいの状況になりました。 データエンジニアリングにはMLOpsと呼ばれる領域も含みます。

これはそうあるべきであり、どちらか一方のみに限定すべきではないと考えています。 なぜなら「データ活用でユーザー体験を豊かにする」ためには、データ収集、基盤構築、分析、可視化、予測、アプリケーションへの組み込みといった一連の流れが必要になるからです。

現在はまだ、基盤構築にとどまっていたり、逆にアプリケーションだけを開発しているプロジェクトが多い状況ですが、上から下まで担うプロジェクトを増やし、顧客への提供価値を高めていきたいと思っています。 そのためには提案力の強化、PM力の強化が鍵になると考えています。

アプリケーション開発、データエンジニアリングそれぞれについてもさらなる研鑽が必要です。

ツールの話

私の入社当時は誤解を恐れずにざっくり言えば Scala と DDD の会社でした。 技術指針という文書があり、その中で Scala、DDD、ユニットテスト、コードレビューが推奨されており、魅力的な言葉で綴られていました。

何を隠そう私もその魅力に惹かれて入社した一人です。

しかしながら、データエンジニアリング領域が徐々に伸長するに連れ、指針が仕事にそぐわないことが多くなってきました。 例えば SQL で書けばすぐに終わる処理に対して spark で苦労してみたり、データ品質ってそもそもユニットテストだけでは担保できないよね、といった具合です。 我々が行動規範に掲げている「最適な技術が最高の選択肢」と相容れない状況です。

そこで2022年には技術指針を廃止し、エンジニアリング指針としてリニューアルしました。 リニューアルにあたって個別技術への言及は避け、本質的に達成したいことへの言及に留めることにしました。

www.flinters.co.jp

改定に関してはインタビュー記事もありますのでご参照ください。

www.wantedly.com

未来の話

最近の私の興味は生成AI、特に LLM です。 去年からChatGPTが人気を博しているのは周知の事実です。 有名人とチャットできるサービスなどが登場していますが、私の関心はシステム開発への応用です。

現状で実用可能なものとして、GitHub Copilot Business はすでに当社に導入しました。 試用中のアンケートによると、Copilot によりコーディングの速度が 21~40% 向上したと回答が最多でした。 サンプル数が少ないので数値の信頼性は低いですが、ビジネス上大きなインパクトがあることがわかります。

私がこの先に見ている夢は、コーディングのオートメーションです。

現在の製品は Copilot (副操縦士)という名前の通りエンジニアをサポートするツールという位置づけですが、そのうち機長と副操縦士が交代する日がやってくるはずです。 つまりAIが主体的に動き、人間がサポート役に回ります。

車の自動運転では、レベル1が運転支援、レベル2が部分運転自動化と定義されています。 コーディングにおいても、近い将来において自動運転でいうところのレベル2が実現すると思います。 その際の人間の役割は責任を取る役割となります。 AIを見張り出力が正しいことを確認する。何かあったら責任を取る、、、ということになるでしょう。

すでにその兆しは見えており、 https://github.com/AntonOsika/gpt-engineerhttps://github.com/OpenBMB/ChatDev では、自動的なコーディングが実験されています。 実用するにはまだ不十分なところが多いですが、 LLM 性能の向上と、LLM 利用テクニックの発見により、実用可能なレベルに達するのは時間の問題だと思っています。

車が自動運転になると運転を楽しむ人に取っては面白くないでしょうが、目的地に楽に早くたどり着きたい人にとっては福音です。 コーディングに関しても同じように、ゴールの達成がより早まることでビジネス貢献がしやすくなっていくでしょう。

まとめ

  • FLINTERSのこれまでを私の目線で振り返りました
  • もっとデータ活用の上から下までやっていきたい
  • LLMで開発は加速する
  • 明日以降もお楽しみに!